アーサー・トライン(27)初期案について

※すべて個人の意見。ポジティブな解釈ではない。
※監督の「決定ではありません」「(両澤さんのメモから)大きなブレはありません」を踏まえてラフに読んで欲しい。

DESTINYから時系列順に心理的変遷を追って正義感について考えていく。

前提 - 人物像

  • 無慈悲な部分がある
  • ヘイトを買って人を動かすのが得意
  • 部外者に対して疑り深く、味方には仲間思い
  • 理に走りがち(固定観念が強い)
  • 責任感は強いが、罪悪感に弱い

DESTINY

ご存じの方は飛ばしてください

PHASE-04 アスランから有益なアドバイスをもらうが部外者の口出しとして敵意を示し、軍への帰属意識の強さが見える

PHASE-18 ガルナハン攻略作戦でシンやアスランの面目を保つためわざとヘイトを買う(ただ二人のメンタルには特に気を使っていない)

PHASE-25 ラボ探索任務で自分の責任にも関わらず艦長の評価を下げてしまったことや、レイを苦しめたことに負い目を感じ、自分の権力の大きさと責任の重さを自覚

同回 子どもを使い捨てる連合を見て、未来ある人間を守るために戦争を肯定してきた自分の正義感に疑念が生じる(かも)(ただ演技から大人と子どもが殺し合ったことに気分を悪くしたようには思えなかった)

PHASE-33 討つべきものはさっさと討ってしまった方が良いのでは~」まだザラ派的思想はありつつ戦争の早期終結を望む、先の見えない不安感を吐露する

PHASE-35 タリアの言う、指揮官が説くべき「剣を取らせる大義(=クルー・パイロットを死地に送る理由)」について考える

PHASE-50 ミネルバ下船後、他人の責任の下で無心で従軍していた自分と、人間としてずっと苦しんでいたパイロットを比較・俯瞰して見るキッカケを得る

選んじゃった未来〜27歳初期案

※選んじゃった未来時点で初期案は反映されていないと思われる
※ブルーレイ特典のネタバレあり

選んじゃった未来前

  • タリアの死の真相などを知る(何を聞いてどう思ったかは明かされていないため不明)
  • タリアを止められなかった自分の人としての至らなさを深く悔いる

選んじゃった未来

  • 艦長の遺品を捨てさせたくないのは、部下として(あるいは人として)そうあるべきという固定観念によるもの
  • アスランの助言で遺品(を守るべきという固定観念)を維持するために後見人になる(もちろん一番大切な遺品はウィルであると言う認識はある)(遺品とか言うな!)
  • ウィルの態度を理解できない上、遺品を捨てさせない方法が思いつかない
  • 命令以外で他人を動かせない軍人気質であることを悟る(=除隊後の身の振り方が決まらない)

選んじゃった未来後

  • ウィルと接することで子どもを死地に送り出して、戦争を肯定してきた固定観念が揺らぐ(かも)
  • 今の自分がミネルバ隊隊長として隊員の生き死にに責任を負う自信を失い除隊かデスクか迷う
  • 度重なる激戦で単純にもうこりごりだという気持ちもあるかも知れない

結果:自分を支えてきた固定観念は揺らぎ、自信も喪失

ここまでにアーサーには以下の引け目があると考えられる

  1. 自分のスキルが軍隊でしか活かせない自覚
  2. 自分は先の見えない戦いに不安があるのに戦争を肯定してきたミネルバ時代
  3. タリアの遺志を継ぐという重圧

これを解決すべく燃え上がる正義感という欺瞞にすがりコンパス参加を決意したのではないか

コンパスへ異動

  1. コンパスの理念に自分の固定観念(=正義感)をゆだねる
    →今度こそ平和を目指した戦いをさせてもらえる
    →軍人としての自分のスキルを、誰かに活かしてもらう(=自分にできることを決めてもらう)

  2. シンルナのコンパス行きを推すという免罪符を得る
    →シンルナは平和のためと自ら志願しているので、命令でパイロットを送り出すのではないという認識、
     戦争を肯定しない理念から「人道的で意義のある活動」という認識を担保することができる

  3. ミネルバクルーにもコンパス参加を打診しタリアに報いる
    →クルーも自分と同じ境遇に置くことで、タリアの遺志を継げていると自分を正当化する

実際のところ欺瞞とはいえアーサー本人がこれを正義感に燃えていると認識しているなら初期案と矛盾ない(あるいは欺瞞と理解した上で対外的に正義感としている)

FREEDOM

よってFREEDOM時点でのアーサーは下記の状態で戦っているという解釈になる

  • シンルナをはじめ自発的にコンパスに参加したパイロットなら肯定的に送り出すことができる
  • アーサーはオルフェの言う決めて欲しい側の人間なので、自分のスキルを真に平和のために活かしてもらえる(人間性で採用された可能性について自覚ないだろう)
  • ミネルバの後継機に元ミネルバクルーを乗せてスキルを活かすことで、タリアの遺志を継げていると自己正当化できる
  • コンパスに居場所ができる(軍をやめず亡き同僚の生きる墓標であることで引け目を感じないでいられる)

結論:アーサーは上記すべてに無自覚的であり、自分の弱さを正当化するためにコンパス参加の理由を正義感ゆえと思い込んでいる普通の弱い人

補足

  • マイナス感情を並べたが普段はそんな思い詰めてる様子をおくびにも出さないはず
  • ミネルバクルーが欲しいコンパスから勧誘された」あるいはザフトから「艦長死亡で扱いづらいミネルバクルーはお払い箱された」という要素がプラスであると説得力出るのでぜひあって欲しい
  • 軍隊でしか自分のスキルを活かせないというのは「キラに似ている」というアスラン評によく当てはまる
  • 子どもを死地に~と繰り返し表現したがシンたちは正規軍人なので本来引け目を感じる必要などない

おまけ キラが苦手

これにはアスランに関して前例がある。PHASE-04で小惑星破砕についてアスランと揉めた際、部外者から正論パンチを食らい珍しく怒り顔を見せ、その後数日~数週間ほど引きずっていて、アスランと目を合わせない描写がある。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 2 さまよう眸 (角川スニーカー文庫) by 後藤 リウ

キラに関しては、これよりもずっと痛い目に遭って遭わせてしてきたのでアスランほど容易にこの苦手感が払拭できないのだろう。それに加えて人を従わせ使役するのが仕事である指揮官のアーサーには、キラのようなスタンドプレータイプは上司としてもパイロットとしても扱いづらいに違いない。

最後に(読まなくてもいいです)

私個人的には、アーサーはネームドモブ程度の扱いで、心理描写はアニメの作画・演技からしか読み取れない不確定で奥深いものであって欲しいという理想がありました。(小説でもアーサーの心理は客観的・他キャラクターの主観的にしか描かれません)

それゆえに、あまりキャラクター性について公式やバズツイに言及されたくないというのがあって(正直)アーサーの自分流の正義感について、好意的な解釈なのでしょうがコンパスの理念に沿ったそのままの正義感と受け取る人が増えるのがちょっと嫌で(クソ正直)自分なりに彼の立場で感じうるだろう負荷と、彼の人間性を踏まえて解釈してみました。

結局上の文章も私のエゴでしかないですし「ふつーにめっちゃ正義感燃えてきたわー!」みたいな異論も認めますが私の意見も一応存在は認めて欲しいです。受け入れなくてもそれは全然構わないから;;

拙い構成、文章を最後まで読んでくださってありがとうございました。

P.S.
最後に、アーサーの一人称は「僕」で、軍人してるときは「自分」と言います。また、タリア以外のミネルバ組からは「副長」と呼ばれてます。二次創作にお役立てください。